DHK / LLMO INTERVIEW MEMO

AIに引用されるサイトを、どう作ったか

01前提|AIを意識しないBtoBサイトは、検討の候補に挙がらない

お客様の購買行動がAI中心に変わってきている

BtoBソフト購買者の69%が、AIの示唆で当初と違うベンダーを選んだという調査もある(G2「The Answer Economy」2026年)。DHKでも、問い合わせ時のヒアリングで「AI検索で知った」と答える方が増えている

サイトを作る目的に、「検索で上位に出ること」だけでなく「AIが書く答えの中に、自社の文章が使われること」が加わった。

02意識した2つのこと|素材を置く/SEOの上に載せる

意識 1

引用されにいくのではなく、引用される素材をWeb上に置く

引用するかを決めるのはAI側で、こちらから操作できない。できるのは判断材料をテキストで置くことだけ。「何の会社で、誰向けに、何を、いくらで、どう進むか」の5点が普通の文章で書かれているかどうかで、AIから見た理解しやすさが大きく変わる。

意識 2

SEOの代わりではなく、SEOの上に載せる

GoogleのAI回答は、その9割超が検索上位20位以内のページを少なくとも1つ引用しているという調査がある。クロールされインデックスされているという土台なしに引用はほぼ起きないので、順序はSEO→LLMOで固定した。

03最初にやったこと|壊れていた土台の修復

01

sitemap.xml が約5年未更新だった

2021年止まり・169URL。当時あったコラム約90本と主力サービスページが載っていなかった。236URLで全面再生成し、現在226URL。

02

非wwwドメインが301の後に404

URLが割れると評価も割れる。非wwwからwwwへ正しく転送されるよう直し、末尾スラッシュ違いの重複配信も301に統一した。

03

構造化データにサンプル値が残っていた

コラムテンプレートにサンプル値(google.com/article)が1年半以上そのまま配信されていた。誤情報を機械可読な形で配っていた状態。

04

ページの読み込み速度を改善

サーバー応答が5.4秒かかっていたページで、テンプレート内のDB呼び出しを87回→29回に削減し0.97秒へ。遅延読み込みとキャッシュも設定した。

そのまま言える一言最初にやったのは追加の新施策ではなく、既存構造の整理です。5年放置のサイトマップと、1年半配信され続けたサンプル値の修正でした。

04立てた仮説|AIが扱いやすい構造と、意図したワーディング

仮説 1

AIが扱いやすい「構造」がある

AIはページを丸ごとではなく断片で取り込んで引用し、1つの質問を、多いときは数十の下位質問に分解して検索する。なら「切り取られても意味が通る単位」で書き、「分解された問いを一つずつ受けられる形」に組むほど、答えとして使われやすいはずだと考えた。

仮説 2

AIが自社をどう紹介するかは、置いてある「ワーディング」で決まる

だとすれば、「何と聞かれたとき、どんな言葉で紹介されたいか」を先に定義し、自社サイト・比較サイト・資料まで同じ言葉で置く。媒体ごとに説明が違えば、その時点で像がぼやける。

狙い

この2つを、AIが読み取って蓄積できる形に置く

設計には社外で言えない部分もあるが、基本的なところでは、この考え方から次の4つの条件に落とし込んだ。

そのまま言える一言先に決めたのは2つです。AIが扱いやすい構造と、どう紹介されたいかの言葉。この2つを、AI側が読み取って積み上げられる形で置いていく、という組み立てにしています。

05打っている施策|4つの条件を満たしにいく

具体の施策をすべてお話しすることはできませんが、大きくこの4つの条件を意識して打っています。

条件 1

AIが読みに来られるか

AIのクローラーが記事を取りに来られる状態か。robots.txtで全許可にするだけでなく、各クローラーのUAを名乗って実際にアクセスし、記事が返るかまで確認した。設定だけでは、手前のファイアウォールで弾かれていても気づけない。実測5種+robots.txtの記述確認1種で、いずれも問題なし。

条件 2

記事の情報が伝わるか

何の記事で、誰が書いて、いつ更新したかが伝わるか。題名・執筆者・公開日・更新日の構造化データをコラム97本すべてに実装(パンくずはサイト全体226ページ)。引用を増やす魔法ではなく、誤情報を機械可読な形で配らないための基礎整備と位置づけている。

条件 3

答えの部分を取り出せるか

長い記事の中から、質問に対する答えの部分だけを抜き出せるか。見出しを質問形にして直後の1〜2文で答える(全体の約19%)。記事末のQ&Aと、その構造化データを計86問

条件 4

毎回同じ品質で作れるか

記事を作るたびに、同じ手順と基準で確認できているか。テーマの決め方から公開前チェックまでを手順化し、18項目の検査を通す。1つでも不可なら書き直す。

1記事あたりの平均文字数は8,542字。監修者と更新日もコラム97本すべてに反映済み。

この4条件を満たすために意識している、6つの取り組み
MASAコメント

取材では、ここまで詳細に言わなくていいかなと思っています。とりあえず4つの条件を説明して、ノウハウある感じにできたらいいかなと。この中身は、突っ込んで聞かれたときに出す用です。

取り組み中身実績
01 AIクローラーの受け入れを実測robots.txtの設定に加えて、各クローラーのUAを名乗って実際にアクセスし、記事が返るかまで確認(GPTBot/OAI-SearchBot/ClaudeBot/PerplexityBot/bingbot)。Google-ExtendedはUAではなくrobots.txt上の制御なので、記述で確認。設定だけでは、手前のファイアウォールで弾かれていても気づけない。6種すべて
02 構造化データパンくず・記事情報(題名/執筆者/公開日/更新日)・FAQの3種。引用を増やす魔法ではなく、誤情報を機械可読な形で配らないための基礎整備と位置づけている。226ページ
97本すべて
86個
03 記事内にQ&Aを置く記事末に、お客様が実際に聞く質問と答えを並べる。質問文をそのまま書くので、AIが同じ質問を受けたとき答えを見つけやすい。新しく作る記事から順次追加している。計86問
04 見出しを質問形にし直後に答える「費用について」ではなく「費用はどう決まるのか?」とし、直後の1〜2文で答える。全部を疑問形にすると読みづらいので、上位記事を調べて割合を決めた。全体の約19%
05 制作手順と検査項目を固定テーマの決め方から公開前チェックまでを手順化。18項目の検査を通し、1つでも不可なら書き直す。18項目
06 AIの回答を読んでから構成を決める上位3記事に加えて、AIが実際に返している回答を読む。比較はAIが一覧で答えるので記事も比較表に寄せ、どこにも書かれていない話題を1つ足す。全記事で実施

06実績|流入はどう変わったか

見ているのは2つ。落ちていた流入が戻ったか、AI経由が増えたか。

①減っていたサイトの流入が、戻ってきた

AI検索が広まった時期に自然検索が落ちていた。2025年7月まで月5,400前後だったものが8月に4,268へ(-21%)、2026年2月に3,804で底。土台の修復と記事の作り直しを進めたあと、そこから下げ止まり、7月には4,985まで戻した。底比+31%で、落ち込んでいた時期より良い水準にある。

0 2,000 4,000 6,000 5,418 3,804 4,985 4,490 25/789 101112 26/123 456 78 2025年8月に-21%の段差 → 2026年2月が底 6月から回復、7月は底比 +31%

自然検索セッションの月次。サイト全体でも月平均7,916(1〜5月)→9,888(6〜8月)で+25%。ただし2025年8月の落ち込みは同時期のGoogleのアルゴリズム更新と切り分けられないため、AIの影響だけとは言えない。回復も同じ理由で、施策だけの成果とは言い切らない。

②AI経由の流入が、1〜5月比で2.6倍になった

1〜5月は月30〜60前後を上下していたが、6月に102へ跳ねてそのまま定着している。4〜5月時点ではまだ動いていない。

0 40 80 120 633429 2745 10211491 1月2月3月 4月5月6月 7月8月 1〜5月:平均 39.6/月 6〜8月:平均 102.3/月(2.6倍)
AI経由CVサイト全体AI構成比
2026年1月6308,5090.74%
2月3407,3430.46%
3月2917,7480.37%
4月2717,8070.35%
5月4508,1740.55%
6月10218,2691.23%
7月114110,8811.05%
8月91210,5130.87%

8月は28日分(31日換算で約101)。サイト全体の伸びは1.25倍なので、AI経由の2.6倍は全体の伸びを大きく上回っている

MASAコメント

「6月から上がった=施策の成果」とは言い切れない可能性がある

  • 市場全体でAI経由が急増している時期と重なっている。
  • 4月から openai という新しい参照元名が計測に出ている(4月7→8月35)。GA4にも6月から「AI Assistant」分類が入り、計測仕様の変化が一部混ざる。
  • 母数が月100前後、CVは8か月で6件。統計的に有意な水準ではない。

それでも方向としては効いていると見ている。 着地ページが変わり、書き直したコラムが上位に入ってきた(「営業・迷惑電話の断り方」ほぼ0→22、「電話対応マニュアルの作り方」8→21セッション)。 仕様変更の影響を受けにくい chatgpt.com 単体でも4月11→7月66と約6倍で、サイト全体の伸び(1.25倍)では説明がつかない。

そのまま言える一言4月時点ではまだ動いていません。変わったのは6月からで、月40件が月100件に。ただ市場全体も伸びているので、成果と言い切るつもりはないです。見ているのは、どの記事に着地しているかが変わったかどうかです。

流入の量は小さい。ただしリードの質は高い傾向がある

AI経由の流入は、量で見れば自然検索にはまだ遠く及ばない。ただDHKの実測では、問い合わせに至る率が自然検索の約1.5倍、ChatGPT経由に限れば約2.7倍で推移している。AIの答えである程度まで比較検討を済ませた状態で来るためだと見ている。米国小売のデータではあるが、AI経由の流入はCVRが42%高いという調査もあり(Adobe 2026年Q1)、方向としては一致する。量ではなく、この質の差を取りにいく施策だと位置づけている。

AI経由の母数はまだ小さいため、倍率は参考値として扱っている。

07今後やること|サイトの中から、外へ

サイト内の整備はひと通り終わった。ここからは材料を外へ広げ、言っていることを全媒体で揃える。

STEP 1

引用される材料を、テキストで置ききる着手中

「何の会社で、誰向けに、何を、いくらで、どう進むか」を、誰が読んでも分かる文章で置く。図やPDFの中にしかない情報を本文に出していく。

STEP 2

各媒体で書いてあることを共通化する実施中

比較サイトで「ロボット自動受付」「DHKクラウド」など別名で載っていた掲載を「DHK CANVAS」に統合する依頼を各媒体に出している(ITreview/AI最強ナビ/デジタル化の窓口 ほか。費用はかからない)。同じ製品が3つの名前で載っていたら、AIから見れば3つの弱い製品になる。標準の説明文も1本に固定する。

STEP 3

独自情報を入れる

他社が書き写せない一次情報を増やす。導入事例、運用データ、自社調査。数字と出典を本文に置くことは、GEO研究(KDD 2024)で可視性が最大3〜4割上がると検証されている数少ない項目でもある。

STEP 4

コラム記事を入れ続ける

大きな記事1本より、ハブとなる問い+下位の問いを1本ずつ受ける記事群にして、分解された網に複数箇所で引っかかる構成にする。

STEP 5

外部媒体への寄稿

自社サイト内だけで言っても裏付けにならない。AI企業メディア掲載の1本で301セッション(同期間のリスティングの約1/3)という実績が出ているので、ここは再現性を取りにいく。

STEP 6

掲載営業で被リンクを獲得する

無料掲載枠のある媒体に「DHK CANVAS」名で新規掲載し、露出と被リンクを同時に取る。

STEP 7

AIへの言及状況を月次で計測し、PDCAを回す

ここが今後の中心。①サーバーログでAIクローラーの巡回頻度を見る ②周辺の下位質問でも引用されるか実際にAIに聞く ③Web検索をオフにしたAIでブランド想起を見る ④問い合わせ時に「何で知ったか」を取り続ける。

取りにいかない領域を先に決めている

すべての聞かれ方で1番を取ろうとすると、どこでも2番手以下になる。小規模店舗・士業・クリニックはIVRyが強いので取りにいかない。中堅企業の代表電話、コールセンター、自治体、BPO・通販・金融・通信といった電話件数が多い領域で第一想起を取る。

08想定される質問と答え

Q. まず何から手をつけるべきですか?
A. 引用されにいく前に、材料を置くことです。「何の会社で、誰向けに、何を、いくらで、どう進むか」がテキストにあるだけで理解しやすさが変わります。うちが最初にやったのも、5年放置だったサイトマップの再生成でした。
Q. 構造化データを入れれば引用されますか?
A. 引用が増えるという実証データは、現時点では見当たりません。うちは「引用を増やす魔法」ではなく、誤情報を機械可読な形で配らないための基礎整備と位置づけています。実際、点検したら1年半以上サンプル値を配信していました。
Q. 効果はどう測っていますか?
A. 流入量だけでは測りません。市場全体が増えているので。クローラーの巡回、下位質問での引用確認、検索オフでのブランド想起、問い合わせヒアリングの4つを月次で見ます。
Q. 自社サイト以外で効いたことは?
A. 比較サイトで製品名が3つに割れていたのを統一したことです。名前が割れるとレビューも実績も分散します。あとは外部寄稿で、AI企業メディアの1本から301セッション来ました。